夫婦で営む「パパママショップ」や中小企業は、多くの可能性を秘めています。
しかし、価値観や経営スタンスの違いが原因で意見が衝突することもあるでしょう。
その結果、どちらかが無理に折れる形になると、経営のバランスが崩れ、事業の成長が妨げられることもあります。
そんな中、近年注目される「両利きの経営」という考え方が、夫婦経営に新たな視点をもたらします。
両利きの経営とは、「現在を支える力」と「未来を切り拓く力」の両方を兼ね備えた経営手法であり、夫婦経営だからこそ実現しやすい特徴があります。
両利きの経営とは?
両利きの経営とは、「知の深化」と「知の探索」をバランスよく行うことを目指す経営スタイルです。
- 知の深化:現在の事業や業務を強化し、効率化や顧客満足度の向上を図ること
- 知の探索:新たな市場や可能性を模索し、イノベーションの種を見つけること
例えば、知の深化ばかりを重視すると、環境の変化に対応できなくなり、事業の将来性が危ぶまれるかもしれません。
一方で、知の探索ばかりに注力すると、現在の基盤が疎かになり、事業そのものが不安定になります。
夫婦経営における両利きの経営の魅力
夫婦で経営を行う際、それぞれの役割や得意分野が異なることが多いです。
これは、両利きの経営を自然に取り入れる絶好の条件といえます。
例えば、一方が日々の店舗運営や顧客対応などの「知の深化」を担い、もう一方が新商品の開発や新規事業の模索といった「知の探索」を担当する形です。
これにより、安定と挑戦がバランスよく保たれ、事業全体がスムーズに進みます。
身近な例に学ぶ両利きの経営
昔話や日常生活にも、この考え方を象徴するような事例があります。
例えば、ある人が家族の生活基盤を整える一方で、もう一人が新たな挑戦を続ける場面は、私たちの身の回りにも多く見られる光景です。
どちらの役割も欠かせないものであり、お互いに補完し合うことで理想的な経営の形が生まれます。
また、ビジネスの場面では、経営者の一方が財務管理やスタッフ教育に注力し、もう一方が地域イベントの企画や新規顧客の開拓を進めることで、両者が目標に向かって共に歩む姿が見られます。
両利きの経営を実現するためのポイント
夫婦経営で両利きの経営を実現するには、いくつかのポイントを意識することが重要です。
- お互いの役割を明確にする
それぞれの得意分野や興味を話し合い、役割分担を明確にしましょう。 - 意見を交換する場を定期的に設ける
両利きのバランスが保たれているか、定期的に振り返る時間を持つことが大切です。 - 相違点を成長のきっかけにする
意見がぶつかった場合、それを新たな視点や可能性として捉え、経営に活かす姿勢を持ちましょう。
夫婦経営が描く未来
夫婦経営は、ただの共同作業ではありません。それは、二人がそれぞれの力を発揮し、補完し合いながら未来を創る経営スタイルです。両利きの経営を意識することで、より強固で持続可能な事業を築くことができます。
「夫婦だからこそできる経営」を目指し、二人三脚で新たな未来を切り拓いてみませんか?
両利きの経営についてさらに知りたい方は、専門書や資料を参考にしながら、ぜひ実践に取り入れてください。
世界標準の経営理論 入山 章栄 (著)
この記事を書いた人
山口亨(中小企業診断士) UTAGE総研株式会社 代表取締役
公的支援機関を中心に、長年にわたり中小企業支援に携わる経営コンサルタント。
代表著作に「ガンダムに学ぶ経営学」「ドラクエができれば経営がわかる」がある。