近年、AI技術の進化は目覚ましく、ついに音楽の世界にも本格参入してきました。
単なる作曲ツールとしてだけでなく、「AI生成音楽」が、単なる技術的な話題ではなく、普通に楽しめる音楽コンテンツとして台頭してきています。
本記事では、AI生成音楽の未来と、人気アーティスト誕生の可能性について、具体的な事例を交えて深掘りします。
目次
「AI生成音楽市場」が示す爆発的な成長と「共演者」としてのAI
AI生成音楽市場は現在、爆発的な勢いで成長しています。その背景には、以下のような変化があります。
制作の民主化:誰もが「音楽のタネ」を生み出す時代
Sunoなどのツールを使えば、専門知識がなくても、テキストを入力するだけで数秒で高品質な楽曲が生成できます。
これにより、誰もが気軽に「音楽のタネ」を生み出せるようになりました。
プロの現場での「究極のコラボレーター」としての創作加速
プロの現場でも、AIは「究極のコラボレーター」として導入されているそうです。
頭の中の断片的なフレーズをAIに渡し、即座に複数の展開案を得ることで、人間の思考スピードを超える創作が可能になっています。
AIは、プロの音楽家にとって「インスピレーションを無駄にしない」究極の共演者になりつつあるようです。
もはやAIは、音楽家にとって「敵」ではなく、創造性を高める「共演者」としての地位を確立し始めているのかもしれませんね。
「AI作曲家+リアル歌手」モデルは「第二のボカロ」となるか?
AI生成音楽が人気を博す上で、「ボカロモデル」は最も有力な成功パターンの一つです。
モデル比較:AIと歌手、ボカロと歌い手のヒット構造

すでに生まれている具体例:商業的成功と「公認AI音声」の登場
- Suno AIによるバイラルヒット: AIが作った楽曲にアーティスト名をつけて配信したところ、ポーランドのSpotifyバイラルチャートで「Ananasik」が1位を獲得しましたそうです。これはAIが作った曲が商業的に成功する最初期の事例と言えますね。
- 公認AI音声の登場: NTT西日本の「VOICENCE」のように、著名な実演家が自らの声の権利を守りつつ、公認の「AI音声」を提供し始めています。これにより、AIが作った斬新な楽曲に「公認された、信頼できるリアルな声」が吹き込まれ、新しい作品として世に出る道筋が整いつつあります。これ、先日のTVのニュースでも取り上げられていました。
AIが生み出す「斬新で人間には思いつかない音楽的アイデア」に、リアルな歌手の「情感あふれる歌声とカリスマ性」が融合することで、これまでにないスターが生まれる可能性は極めて高いかもしれません。
乗り越えるべき課題:AI生成音楽の著作権と倫理
AI音楽の進化には、まだ乗り越えるべき課題もあります。
- 著作権と報酬: AIが生成した楽曲の著作権は誰に帰属するのか? AIが学習に利用した楽曲の権利者にはどのように報酬が支払われるべきか?
- 倫理と価値: 音楽の「価値」や「公正さ」をどう守るか?
これらの問題に対し、業界全体で「責任あるAI利用」に向けたガイドライン作りや技術的な仕組みが急ピッチで進められているとのことです。
結論:AIは「音楽の可能性を拡張する」未来のアーティストの個性とは?
AI生成音楽は、一過性のブームではなく、音楽の未来そのものです。AIが「無限の音の素材」を生み出し、人間がその中から「何を選び取り、意味を与えるか」という感性が、これからのアーティストの個性となるのではないかと思います。
AI生成音楽が、リアル歌手とのタッグで時代を象徴する新たな音楽カルチャーを生み出す瞬間に、私たちは立ち会っているのかもしれませんね。
実際にAIが作成した音楽(MV)を、以下のYoutubeチャンネルで公開していますので、もしご興味あればご覧になってください。
https://www.youtube.com/@desir_utage
この記事を書いた人
山口亨(中小企業診断士) UTAGE総研株式会社 代表取締役
公的支援機関を中心に、長年にわたり中小企業支援に携わる経営コンサルタント。
代表著作に「ガンダムに学ぶ経営学」「ドラクエができれば経営がわかる」がある。










