つい先日、金融マンから最近の経済の話を聞きました。
「なぜここへ来て円安・株高に振れてきたのか?」という質問をしました。
私の理解では答えは次の様な感じでした。
(あくまでも私の解釈のため、誤認があるかもしれません)
1)欧州危機の回避(時間稼ぎ)
昨年来ずーっと続いているギリシャ問題等の欧州危機について回避の動きが見えたこと。
欧州中央銀行が3年間の比較的長期にわたる低利(1%って言ったかな?)での大量の資金供給に踏み切ったこと。
これにより、欧州の金融機関でお金がダブつき始め、とりあえずリスクがあがって金利が高く(5%とか?)なってきた欧州各国(イタリア、スペインとか)の国債を持っておけば、利ざや(5%-1%=4%)が抜けるので、国債の購入に動いたこと。
イタリアなどの国債が不安になっていた国の国債が買われたことで、不安国はとりあえず現金を確保できたことにより、差し迫っていた破綻の危機を先送りにできたこと。
本質的な改善ではないけど、とりあえず資金繰りのための現金を手に入れられたので、まぁ、時間稼ぎができたってことですね。中小企業の融資の実態と似ているのかと・・・
まぁ、とりあえず近々のリスクは回避できたので、抑えていた消費が戻り始め、モノも売れ始めたということになってくるのではないでしょうか?少しの間は。
2)日本の貿易赤字(11年度大幅31年ぶり)
昨年は、震災の影響でモノが作れず、輸出が減少した。
また、原発が止まり、原子力以外のエネルギーを輸入しなければならない状態で、原油や天然ガスの需要が大幅にあがり、また危機迫っているので価格交渉が困難ななかで購入せざる得ない状況で、ほとんど言い値の様な感じで購入。結果、輸入額が急増したとのこと。
輸出が減って、輸入が増えたため、輸出の額より輸入の額が上回って、貿易赤字に陥ったということ。
しかし、自動車産業等の輸出が持ち直したと言われた1月になっても貿易赤字は1兆5千億円となっており、原発の再開も厳しい現状のなかでは、貿易赤字は昨年の一過性のものではなく今後構造的に続いて行くものかもしれないという不安が生まれ始めたこと。
そうなると、元来借金の多い国の通貨(円)を持ていることへの不安が高まり、円の信頼が下がりはじめ円安に振れたとのこと。
上記1)のこともあり、欧州(ユーロ)や米国(ドル)へ流れた?
3)日銀の量的緩和
従来から日銀は量的緩和を実施し、紙幣を刷ってお金を市場へ供給してきたけど、ここにきて、インフレターゲット(1%)を明示したことにより、市場の認識が株等の現物へ向いた?ということ。
輸出産業が持ち直し、欧州での消費の回復傾向により、日本企業に対する明るい材料が出てきたこと。これにより、株高に振れているということ。
これら、3つが同時期に複合的に絡み合って、株高、円安に振れ始めたとのこと。
ただし、これは本質改善(財政収支の改善など)にはまったくなっておらず、時間稼ぎの結果によるもので、日本の場合は、どこかで一気に円の価値が暴落する危険性も踏まえてしまってきている。
企業で考えると、高コスト体質で借金まみれ、かろうじて経常収支が黒字なので、なんとかお金借してもらって、資金繰りが回っているみたいな。
しかし、これからますますコストがかかることが予測されるが、売上(税収)は伸び悩み、輸出企業が海外へ拠点を動かし、原発の影響でエネルギーコストが上昇し、輸入額が増加、経常収支も赤字に転落すると、完全な赤字企業になり、将来の収益改善の事業計画が見えなければお金の貸し手もいなくなる。そして逆につぶれる前に資金回収に転換される。
なんか、企業に置換えて考えてみたら非常に恐い状況ですね。
私の認識では、こんな感じに解釈しましたが、おかしな点等ありましたらご教示、ご指摘頂ければ幸いです。