自律型AIエージェント「Google Antigravity 2.0」を導入したものの、終わらない承認ポップアップやトークンの激しい消費に戸惑っていませんか?
本記事では、初心者が安全に作業を進めるための必須初期設定(テレメトリ無効化・権限管理)から、トークン浪費と暴走を防ぐ実践的な運用ルール(AGENT.md活用)までを整理しました。
環境構築直後の備忘録として、無駄なコストを抑えた運用の参考にしてください。
1. 最初にやるべき安全設定(Settings)
Antigravity 2.0 をインストールしたら、プロジェクトを開く前にまず環境設定(ショートカット: Cmd + ,)を見直します。
デフォルト設定のまま動かすと外部送信や意図しないコマンド実行のリスクがあるため、以下の安全設定を最初に行います。
① テレメトリ(データ学習)の無効化
業務コードや個人データをAIの学習に利用されないよう遮断します。
- 場所: Settings > Account(または Application)
- 設定: Enable Telemetry(または Usage Data Sharing)を OFF
② 権限プリセットを「Request Review(都度確認)」に固定
エージェントがPC上で勝手に不可逆なコマンドを実行しないよう、安全弁を締めます。
- 場所: Settings > Global Permissions
- 設定: Permission Preset を Request Review に変更
③ 意図せずコマンドを常時許可(Always allow)したときのリセット手順
「よく分からないまま承認画面で Always allow を選んでしまった」「ターミナルコマンドに ls などの特定コマンドが登録されてしまった」という場合は、一旦リセットしてすべて手動確認に戻せます。
- 場所: Global Permissions > Tool Permissions > Terminal Commands
- 手順: Open を開き、一覧に表示されているコマンド(ls など)の右端にあるゴミ箱アイコンをクリックして削除
- 効果: AIが裏でどんなコマンドを叩こうとしているのかを、再び1つずつ画面で目視確認できるようになります。動作に慣れて「毎回聞かれるのが面倒だ」と感じたものだけ、後からポップアップ上で「Always allow」していけば問題ありません。
④ 基本ポリシーの推奨設定
- Plan Review Policy: Always Ask(AIが作業計画を立てた際、勝手に進めず必ず確認を挟む)
- Browser Javascript Execution Policy: Request Review(ブラウザ自動操作時の勝手なスクリプト実行を防止)
2. 作業場所(Project)の正しい登録と初期リセット手順
Antigravity 2.0 は「フォルダ(リポジトリ)単位」で作業範囲を認識させます。
プロジェクトの登録とモデル選択
画面左サイドバーの Projects の「+」ボタンから、Mac上の作業対象フォルダ(例: ~/Git/your-project/)を選択して開きます。
- モデル選択: 初期の Gemini 3.8 Flash (Medium) のままで十分です。Lowは思考手順が荒くなり、Highは思考が深すぎてトークン消費が増えます。
フォルダ指定前に動かして「謎の一時ファイル」ができた時のリセット法
フォルダを開かずに「ファイルを作って」と指示を出してしまった場合、Antigravity は一時的な仮作業スペース(スクラッチ領域)にファイルを自動生成します。初期状態に戻したい場合は以下の手順で綺麗に掃除できます。
- アプリを Cmd + Q で完全に終了する。
- Finderで以下の隠しフォルダを開く。
- 中に入っているテストファイル(test.py など)をゴミ箱へ移動して空にする(※scratch フォルダ自体は残して中身だけ削除)。
- アプリを再起動し、サイドバーに残っている過去のチャット履歴をゴミ箱アイコンで削除する。
3. 「無印(2.0)」と「IDE」の役割分担とGit運用のコツ
- Antigravity 2.0(無印・デスクトップアプリ): 司令塔。自然言語で指示を出し、調査・ファイル作成・検証を自律実行させる。
- Antigravity IDE(VS Codeベース): 作業場。コード全体の閲覧や、手動での細かい微調整を行う。
裏側で参照しているMac上のGitフォルダは共通です。「両方を同時に立ち上げておき、無印でAIにコードを変更させ、IDE側でその変化をリアルタイムで眺める」 という併用スタイルが非常に快適です。
Review画面とCommitボタンの付き合い方
ファイルが作成・編集されると、無印の画面下に 1 file changed [Review] というバーが表示されます。
- Review: 変更差分(Diff)を目視チェックし、気に入らなければ破棄(Revert)できる画面です。
- Commit: その場ですぐGitコミットできる便利なショートカットです(押すとMacのGit設定名義で、AIが自動生成したメッセージとともにコミットされます)。
- 運用のコツ: 毎回コミットボタンを押す必要はありません。ファイル自体はすでに保存されているため、Review画面は放置してそのままチャットで次の指示を続けて問題ありません。コミットは作業のキリが良いタイミングでIDEやターミナルからまとめて行えば十分です。

4. トークン即死と承認地獄を防ぐ3つの防衛策
既存のWebサイト(HTML/JS/CSS)を読み込ませ、「表示に問題がないか確認して」と曖昧に丸投げした際に起きたリアルな失敗例と対策です。
① 実際に起きたドタバタ劇(全27ステップの暴走)
指示を受けたAIは超真面目なQAエンジニアと化し、裏で以下を自発的に始めました。
- Node.jsを探して失敗し、慌ててPythonの環境調査に切り替える。
- バックグラウンドでChromeを起動し、画面キャプチャを撮影。
- スマホ対応を調べるため、CSSの @media を grep で検索。
- /tmp 直下に check_page.py や check_interactions.py などの診断プログラムを何本も自作して実行。
- 画面サイズを変えながらスクリーンショットを4回連続で撮影し、重い画像データを自ら読み込んで解析。
結果として、画面にはコマンド実行の承認ダイアログが延々と出続け、たった1回のやり取りで週間トークン枠の10%以上が一瞬で溶けました。
この事態を防ぐための対策が以下の3点です。
② カンバセーション(チャット)はタスクごとに使い捨てる
- Projects(作業フォルダ): ずっと固定で使い続ける。
- Conversations(チャット履歴): 1タスクごとに「+」で新しく作り直す。
チャット欄に過去の実行ログや撮影画像が溜まると、次の指示を出すたびに過去の全履歴が雪だるま式に再送信され、消費量が跳ね上がります。
検証が終わったらそのチャットは役目を終えたものとして放置し、次のコード修正は必ず新しいチャットを開いて進めます。
③ 検証の指示には必ず「終了条件」をつける
人間が自分の目で見る場合(トークン消費ゼロ):
AIに多角チェックを任せる場合(首輪をつける):
・JavaScript/コンソールのエラー有無
・PC幅(1200px)とスマホ幅(375px)のレイアウト崩れ・横スクロールの有無
・主要ボタンのクリック動作
※追加調査や別サイズの再撮影は禁止。各項目を1回確認したら即座に完了報告を出してください。
④ 承認ラッシュになったらチャットから「割り込み停止」する
承認ポップアップが何回も続いて終わりが見えない時は、ボタンを押し続けずにチャット入力欄へ直接メッセージを送信します。
これだけでAIは無駄な追加検証を即座に打ち切り、そこまでに調べた結果(JSエラー0件、表示崩れなし等の高精度なレポート)を整理して返してくれます。
検証中にAIが勝手に作った /private/tmp/check_page.py や画像ファイルは、macOSの仕様上「Macを再起動すれば自動的に消去」されます。容量もわずかなので手動で消す必要はなく、放置で問題ありません。
5. 行動ルール(AGENT.md)でAIを恒久的に手懐ける
毎回プロンプトに「スクショは何回まで」「スクリプトを作るな」と書くのは非効率です。
プロジェクトのルート直下に指示書を1枚置いておけば、AIは作業前にそれを自動で読み込んで従うようになります。
新しいチャットを開き、以下のプロンプトを送ってルールファイルを自動生成させます。
今後の作業効率化とトークン節約のため、このプロジェクトのルートに AGENT.md を作成してください。
内容は以下のルールを記載してください。
# プロジェクト行動ルール
1. 環境の前提:
– Node.js や npx は存在しないため、探索・チェックを実行しないこと。
– スクリプト実行が必要な場合は python3 を使用すること。
2. スクリプト乱造の禁止:
– 検証目的で /tmp などに使い捨てスクリプト(.py)を複数作成しないこと。
– 基本的な確認はシェルワンライナーまたは既存コマンドで完結させること。
3. 画像・スクリーンショットの制限:
– スクリーンショット撮影と画像解析は、明示的に指示された場合のみ「最大1回」に限定すること。
– 独自の判断による追加撮影、別サイズでの再撮影、連続撮影は厳禁とする。
4. タスクの自己増殖禁止:
– 依頼された検証・作業が完了したら即座に最終結果を報告すること。
– 指示されていない追加の調査、深掘りテスト、周辺機能のチェックを勝手に始めないこと。
生成された AGENT.md は、コードと一緒に Git にコミットしておきます。こうすることで、将来別の環境でリポジトリを開いた際にも同じルールが最初から適用されます。
まとめ:AIは「頭脳」ではなく「手足」として動かす
Antigravity 2.0 は非常に優秀ですが、目標を曖昧にして「考えさせる」と、真面目すぎるあまり不要なテスト自動化プロジェクトを一人で立ち上げて暴走します。
- 初期設定でテレメトリを切り、権限は Request Review にする
- 作業フォルダを正しく Project 登録し、チャットはタスクごとに使い捨てる
- 人間が方針と終了条件を決め、AIには「作業(手足)」だけをやらせる
- 反省点は AGENT.md にルール化してリポジトリに覚えさせる
この4点を押さえておくだけで、無駄な承認ラリーやトークンの浪費に悩まされることなく、快適な開発パートナーとして Antigravity 2.0 を使いこなせるようになります。
今回ご紹介した初期設定と AGENT.md を適用した状態で、「実際にWebサイトの修正から初回ビルドまでを最小トークンで完結させる具体的な指示プロンプト」などについては、AIエージェントのパイプライン構築のプロセスとしてXで公開していこうと思います。
机上の空論ではない、現場で機能するAIエージェントの全貌を、ぜひフォローしてXの記録からご覧ください。
また、AIが作成した音楽(MV:ミュージック・ビデオ)を、以下のYoutubeチャンネルで公開していますので、もしご興味あればご覧になってください。
『学べるアニメ主題歌』 DESIR -欲望の饗宴-
この記事を書いた人
【免責事項】
山口亨(中小企業診断士) UTAGE総研株式会社 代表取締役
公的支援機関を中心に、長年にわたり中小企業支援に携わる経営コンサルタント。
代表著作に「ガンダムに学ぶ経営学」「ドラクエができれば経営がわかる」がある。
(@susumu_utage)
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